「秋の絶景」はどう生まれる? 紅葉・黄葉のしくみについて

2021.11.11 子育て

「秋の絶景」はどう生まれる? 紅葉・黄葉のしくみについて

#知育#教育#イベント


●はじめに


今年も10月が終わり、徐々に紅葉のシーズンが近づいてきました。
美しい黄色や赤色に染まった葉……絶景ですよね。その絶景がどのようにして生まれるのか、皆さんはご存じですか?
今回は、紅葉・黄葉のしくみについて、わかりやすく解説していきます。

●春・夏の葉はなぜ緑色? 


葉の色が変わる、紅葉・黄葉の代表ともいえる植物に、イチョウ、モミジがあります。秋を迎える前のイチョウ、モミジ、紅葉しない多くの植物は葉が緑色に見えます。

その緑色に見える理由をご存じでしょうか?
理由は単純です。植物の葉には、「クロロフィル」という名前の色素が含まれています。このクロロフィルが、太陽に照らされると緑色の光を反射するため、葉は緑色に見えるのです。



●なぜ秋は黄色に変わる?





イチョウ、モミジの葉には、緑色に見える時も、黄色の色素が含まれています。「カロテノイド」という名前の色素です。しかし、目に見える色素は緑のクロロフィルだけ。けれども、目に見えないカロテノイドも存在している……2種類の色素が同時に存在している状態です。
クロロフィルだけが目に見える理由は、クロロフィルの量がカロテノイドより多いからです。カロテノイドは少ないため、クロロフィルに隠れて見えません。
しかし秋になると、次のような変化が生じます。

① 秋になると、植物は春や夏と比べて、生産できるエネルギー源の量が減る。春や夏ほどエネルギー源に余裕がなくなるため、葉のクロロフィルを分解して幹に送り、エネルギーとして使うようになる。
② 葉の中からクロロフィルが減っていく。緑の色素が減っていくことになるため、葉の緑色が薄くなる。
③ クロロフィルに代わり、今度はカロテノイドが目立ってくる。それによって黄色の色素が濃くなる。
④ 葉が緑色から黄色に変わる→これが黄葉!
イチョウが黄色に染まる「黄葉」は、まさにこの①~④の流れで起こる現象です。

簡単に言うと、寒くなると幹で栄養が沢山作れず葉っぱから養分をもらうために葉が黄色くなる、ということです。

●なぜ赤色に変わる?





葉が赤色に染まるしくみは、黄色に染まる時とは少し異なります。
葉を赤色に染めるのは、「アントシアニン」という名前の色素です。
真っ赤な紅葉は、次のような流れで起こります。

①  秋、上記の黄色の葉と同様にクロロフィル(緑の色素)が分解されて減る。
②  ①と同じタイミングで、アントシアニン(赤の色素)が新たに作られる。

アントシアニン
は、クロロフィルと入れ替わるようなタイミングで新たに作られるのです。そこが、もともとあるのが目立ってくるカロテノイドとの違いです。
モミジなどの鮮やかな赤色は、アントシアニンによるものなのです。


●季節の訪れを味わおう


いかがでしたか? 紅葉のしくみを知ることで、イチョウやモミジを見る視点が変わるかもしれません。春や夏に緑色のイチョウを見て「まだクロロフィルよりもカロテノイドの方が少ないんだな……」と考えたり、真っ赤なモミジを見て「アントシアニンがいっぱいあるぞ!」と思ったりするだけでも、新鮮な感覚で秋の訪れを味わえるのではないでしょうか。



今年もモミジ狩りを楽しもうと思っている方で「今年の紅葉について知りたい」という場合は、下記のサイトをご覧ください。日本各地の紅葉について、「今は見ごろなのか」がイラストとともにリアルタイムで紹介されています。よろしければ参考にしてみてくださいね。

*「日本気象協会 【紅葉見ごろ情報 2021】」
https://tenki.jp/kouyou/

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