2022.3.24 子育て
怖いだけじゃない! ~魅力的な妖怪三選~
●はじめに
雪女。鬼。ろくろ首。天狗。海坊主……。どれも「妖怪」の名前です。皆さんも聞いたことのある名前が1つはあるのではないでしょうか?
「妖怪は、実在する生き物なのか? 架空の生き物に過ぎないのか?」
現時点では、どちらも科学的な証明はされていません。つまり、あいまいです。ですが、だからこそ人々の好奇心や想像力をかきたてている、といえるでしょう。
今回は、そんな妖怪たちの中から厳選して「家」、「山」、「海」、それぞれに出没する(とされる)妖怪を3種類ご紹介します。
妖怪について「知る」ことが、お子さんの好奇心や想像力をかきたて、良い刺激になるかもしれません。
●「家」 座敷わらし
有名な妖怪の1つで、多くの方が名前をご存知だと思います。
岩手県を中心に、東北に伝わっている妖怪です。
名前に「座敷」とあるように、家の中に住んでいます。
見た目は3歳~12歳ごろの子どもで、男の子もいれば、女の子もいます。
「家の中にいて、幼稚園児~小学6年生くらいの子どもに見える姿をした妖怪」
ということになりますね。
ちなみに、髪型は「おかっぱ」の場合が多いそうです。
座敷わらしは、「ごりやくがある」とされる場合もあれば、そうでない場合もあります。
寝ている住人の枕をひっくり返したり、布団を引っ張ったりする「いたずらっ子」と考える人がいます。ですが一方で、住みついた家を繁栄させることもあり、その場合は「守護神」のように扱われるそうです。
座敷わらしには、たくさんの別名があります。水木しげるさんと村上健司さんの著作『日本妖怪大辞典』には、14種類もの別名が紹介されています。そのうちの4種類をご紹介します。
*座敷もっこ
*米搗き(こめつき)わらし
*ノタバリコ
*チョービラコ
さらに、階級もあります。見た目や行動によって階級が2つに分かれているのです。
*色白でキレイ➡階級が高い
*土間から出てきて座敷をはいまわり、薄気味悪い音を立てる➡階級が低い
階級ごとに明確な違いがありますね。
●「山」 送り狼(おくりおおかみ)
関東、近畿、中国、中部それぞれの一部の府県、などに伝わる狼の妖怪です。「送り犬」とも呼ばれます。
山道を歩いていると、後ろから数匹でついてきます。それに気づいて振り向いた人が、どう対応するのかによって、送り狼は全く異なる行動を取ります。
ポイントは、「送り狼に出会っても、冷静に対応できるかどうか」ということです。
具体的には、次のようなケースがあります。
【Aさんのケース】
① 送り狼が、Aさんの頭上を何度も飛び越える。
② Aさんは、「ひいいぃ!」と青ざめて転んでしまう。
③ Aさんは送り狼のごはんになる。
【Bさんのケース】
① 送り狼が、しゃがむような動作をしてBさんに「伏せろ」と伝えてくる。
② それに従って、Bさんは道に伏せる。
③ 道を山賊らしき人々が通りすぎる。
④ Bさんは、山賊に見つからずに済んだ。
送り狼に山賊から守ってもらえた……。
この2つのケースからわかるように、送り狼に気づいた後、慌てて転んでしまうと危険な目にあい、冷静かつ従順な対応をすれば助かる、というわけです。
肉食のどう猛さをむき出しにする時もあれば、守護神のような役割を果たしてくれる時もある……。まったく異なる性質をあわせもつ複雑な妖怪、という見方ができると思います。
●「海」 船幽霊
文字通り、船に乗って現れる幽霊(妖怪)です。
全国各地の海に現れるといいます。海がない地域では河川、湖、沼に現れます。航海中に海などで亡くなった人の幽霊が、船とともに現れるのです。人が乗る船に近づき、生きている人を「霊の仲間」にしようとする場合もあるのだとか……。
船幽霊には様々な種類があります。主に次の3種類に分かれます。
① 船に乗って現れる幽霊(船・乗組員の幻影)。
② 幽霊(ヒト)だけ現れる。生きている人が乗る船に侵入したり、話しかけてきたりする。
③ ①~②が混じっている。
などなど。
彼らは、海で亡くなった無念を伝えたいのでしょうか、成仏させてほしいから姿を見せるのでしょうか……。
●おわりに
今回ご紹介した3種類の他にも、由来が悲しい妖怪、起源がシュールな妖怪、人に危害を加える妖怪などが大勢います。ひとくくりにはできない、まるでジェリービーンズのように色とりどりのドラマがある存在……。それが妖怪だといえるでしょう。