2022.8.30 子育て
夏休みに親子で語彙力アップ! ~「水」にまつわる3つのことわざ・四字熟語~
●はじめに
八月も終わりが近いですが、暑い日が続きますね。
この季節のお子さんの遊びといえば、その1つは、プールなどの水浴びでしょう。うだるような暑さで、冷たい水が気持ちよくて笑顔になる我が子を見る……そんな機会が増えるママさん・パパさんもいらっしゃるかと思います。
今回は、夏に涼しさをもたらす「水」にまつわることわざ・四字熟語をご紹介します。
●「寝耳に水」
皆さんも一度は聞いたことがある言葉かもしれません。良い意味、悪い意味、どちらでも使うことができる言葉です。
「寝耳に水」は、「思いがけないことが起きて驚く」という意味で使われます。
文字通り、「寝ている人の耳」と「水」に関係があります。
由来としては、次の2つの説が有力です。
① 「水の音を聞いてびっくり!」
水害への備えが不十分だった時代の人は、睡眠中に洪水の音で目が覚めると青ざめました。寝ていて無防備であるため的確な避難がしづらく、洪水に巻き込まれるリスクが大きかったためです。
「寝ていたら、いきなり洪水の音で身の危険を感じた」⇒「非常に驚いた」⇒「寝耳に水」。
このような由来があるのではないかとする説があります。
② 「耳に水が入ってびっくり!」
これは、耳に「水の音」ではなく「水そのもの」が入ってきて非常に驚くというものです。
安心して寝入っているとき、いきなり耳の中に水が入ってきたら、多くの人は「えっ⁉」と思うはずです。そこから「非常に驚く」という意味で「寝耳に水」と表現するようになったのではないかとする説もあります。
例(良い意味)
…「兄から《宝くじの一等に当選したぞ!》と電話があり、寝耳に水だった」
(悪い意味)
…「優秀で真面目な官僚である父が、万引きで捕まったらしい。寝耳に水だ」
●「我田引水(がでんいんすい)」
悪い意味の言葉として使われます。
誰かの身勝手な行動を批判するときに使われる四字熟語です。
「我田引水」は文字通り、「我(自分)の田んぼに水を引く」という意味です。田んぼで稲作を行う人が、自分の田んぼに水を引くこと自体は問題ではありません。ですが、自分だけ田んぼ用の水を独り占めして、ほかの人の田んぼに水が届かないようにすることは大問題です。水がないと稲作ができないからです。
「自分の田んぼだけに水を引き、ほかの人の田んぼを危機に追いやる……。ダメでしょ!」ということで、「我田引水」が身勝手さを批判する言葉になったとされています。しかし、田んぼで水を独り占めするように深刻な「身勝手」だけでなく、[b:思わず笑ってしまうような程度の「身勝手」にも当てはまります。
例「A社は、自分たちにだけ有利になるビジネスをやっている。まさに我田引水だ」
「彼はガードゲームで、イカサマばかりするらしい。事実なら我田引水ではないか」
●「立て板に水」
良い意味で使われることが多い言葉です。
この言葉は、「立てた板」と「水」に関係があります。
立てた板に上から水を流すと、水は、板の上を滑るようによどみなく流れていきます。その様子は「人がすらすらと話すこと」にも似ているため、立てた板によどみなく流れる水のような話し方をしていることを表す言葉として使われます。
例「彼女のスピーチは、立て板に水のようだった。とても話し方が上手なのだ」
「彼は、特撮のことになると普段よりしゃべる。まさに立て板に水のようだ」
●おわりに
「寝耳に水」
「我田引水」
「立て板に水」
3つとも、日常生活で使うことができます。ですが、悪い意味でしか使わない「我田引水」は、批判したい相手に直接言うとトラブルになりかねませんので、注意が必要です。
今回紹介した3つの言葉には、それぞれ「音」や「物」にまつわるエピソードがあります。それを知ったうえで意味も覚えておくと、使ったときに、より深みや奥行きが感じられるかもしれません。よろしければ、この記事を参考にしてみてくださいね。