お寺で生まれた春の和菓子 ~桜餅について知ろう~

2022.4.15 子育て

お寺で生まれた春の和菓子 ~桜餅について知ろう~

#知育#教育#レシピ


●はじめに


今年も、日本各地で桜が咲き誇りました。
お花見の季節の和菓子といえば、何があるでしょうか? 色々なものがありますが、その中の1つに「桜餅」があります。
今回は、その桜餅について解説します。桜餅が好きなお子さんも、そうでないお子さんも、「有名な和菓子の知識」にふれることが刺激になるかもしれません。


●どのように生まれたのか?


桜餅は、江戸時代に生まれたお菓子です。
大きく分けて2種類あります。


① 江戸生まれの「長命寺」

関東風の桜餅です。
江戸時代(1717年)、隅田川沿いにある「長命寺(ちょうめいじ)」というお寺で生まれました。
この長命寺は、桜が散ると、落ち葉の山ができて掃除がひと苦労でした。

そこで門番が、「この落ち葉を有効活用しよう」と考えます。そして、長命寺へ墓参りに来る人たちをもてなす菓子として、塩漬けにした桜の葉で包んだ餅を売るようになりました。
これが関東における桜餅のはじまりだ、といわれています。
やがて隅田川沿いが桜の名所となり、花見客が押し寄せるようになると、そこで売られる桜餅は「花見の名物」となりました。
この関東風桜餅は「長命寺」とも呼ばれています。


② 大阪生まれの「道明寺」

関西風の桜餅です。
江戸時代(1800年代前半ごろ)、大阪にあった「土佐屋」というお店で生まれました。
関西風桜餅は、関東風桜餅を参考に作られたものです。
もち米を蒸して干し、石うすで挽いた「道明寺粉(どうみょうじこ)」という粉で作ることから、関西風桜餅は「道明寺」とも呼ばれています。


●それぞれの違いは? 


関東風と関西風では、主に3つの違いがあります。
①「餅の材料」
②「食感」
③「形」


*関東風
◎餅の材料……小麦粉、白玉粉、もち米粉、砂糖など。
◎食感…………しっとり感がある。表面は八つ橋のよう。
◎形……………あんを包むとき、二つ折りで筒状にする。




*関西風
◎餅の材料……道明寺粉、砂糖。
◎食感…………もち米を使うので、もちもち感が出る。表面はもち米のつぶつぶ感が残る。◎形……………餅は、あんを包んだら、丸める。






●「ひな祭り」との関係は?


「桜餅は、ひな祭りのお菓子だ」
そんなイメージをお持ちの方は少なくないかもしれません。
「桜餅=ひな祭り」というイメージが定着した理由は、諸説あります。

*餅がピンク色でかわいらしく、女の子のお祝いに似合うから
*餅のピンク、葉っぱの緑が春らしい色だから

このような説がありますが、実際は、桜餅とひな祭りに特別な関係はありません。


●まとめ


今回の主なポイントは次の5つです。

① 桜餅は、江戸時代に生まれた。

② 関東風と関西風がある。

③ 関東風は「長命寺」、
  関西風は「道明寺」
と呼ばれる。

④ それぞれ材料・食感・形が異なる

⑤ ひなまつりと桜餅はあまり関係ない

「300年以上も消えずに残っている。すごい」
「関東と関西で特徴があって面白い」
「あまり関係ないのに《ひなまつりのお菓子》と思われ続けている……」

 そんなことをぼんやり考えながら桜餅を食べると、今までよりちょっと楽しくなる……かもしれません。

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