2022.6.3 子育て
全部おぼえられるかな? ~たくさん名前があるお菓子「回転焼き」~
●はじめに
いつの時代も、「甘いお菓子」は、子どもから大人まで多くの人を幸せにしてきました。もちろん、それは今でも変わらないことだと思います。
世界には、たくさんの種類の「甘いお菓子」がありますが、今回は和菓子の1つである「回転焼き」の「名前」について解説します。
●「回転焼き」だけじゃない! 代表的な名前3つ
回転焼きというお菓子には、代表的な名前が3つあります。
① 回転焼き
② 今川焼き
③ 大判焼き
この章では、それぞれの名前の「由来」と「使われる地域」をご紹介します。
① 回転焼き
《由来》
これは、焼くための道具である「焼き板」に由来します。
もともと焼き板は、回転できる円形のものに、丸い型がいくつも並んでいるタイプでした。この場合、次のような手順で使います。
A 手前にある一部の丸型で生地を焼く。
B 焼き板ごと回転させて、ほかの丸型を手前に寄せる。
C その丸型で生地を焼く。
D 再びB。こうしてA~Dを繰り返し、いくつも焼き上げていく。
このように焼き板を回転させて生地を焼いたことから、「回転焼き」と命名されました。
《使われる地域》
主に関西・九州で多く使われます。
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、京都が舞台となるシーンで、おいしそうな「回転焼き」の映像が何度も流れました。これがきっかけで、「回転焼き」という名前は今までより広く知れ渡った……かもしれません。
② 今川焼き
《由来》
この名前は、ある地名に由来します。
江戸時代、江戸(現在の東京)に「今川橋」という橋がありました。その近くにあった店で今川焼きが初めて販売されたといわれています。「今川橋近くの店が発祥」という理由から、「今川焼き」と呼ばれるようになったのです。
《使われる地域》
全国的に使われる名前ではありますが、主に関東で多く使われるようです。発祥が江戸、つまり現在の東京であることが理由だと考えられています。
③ 大判焼き
《由来》
この名前は、「サイズ」に由来します。
名前を考えたのは、愛媛県にある会社です。この会社は昭和30年代前半、「回転焼き」を従来のものより大きくしたお菓子を販売しました。「大きな判(サイズ)」であることから、「大判焼き」と名付けられました。
《使われる地域》
全国で最も多く使われる名前だとされています。
特に、中部、中国、四国で多く使われます。
●回転焼きには、まだまだ他の名前がある!
回転焼きは、「回転焼き」、「今川焼き」、「大判焼き」の3つ以外にも、全国各地に様々な名前が存在します。
どれも特徴的な名前ばかりですが、今回はその中から2つご紹介します。
*御座候(ござそうろう)
兵庫県にある会社の看板商品です。「御座候」というのは「ございます」という意味で、「お買い上げいただき、ありがとうございます」という感謝の気持ちが込められています。
戦後まもないころ、「物資不足でも《ほんもの》を食べたい」という消費者の思いにこたえ、高価な材料で作られた回転焼きが「御座候」でした。従来の2倍の価格で売られていましたが、大ヒットしたそうです。
*ロンドン焼き
京都にある会社の商品です。「ハイカラなお菓子にしたい」という思いから、「ロンドン」という横文字を名前に使ったそうです。
このロンドン焼きも戦後まもなく生まれたお菓子で、昔から京都に住んでいる人にとってはおなじみの存在です。
●おわりに
回転焼きは、別名だけでも10種類以上あります。「太閤焼き」(大阪)、「黄金まんじゅう」(静岡)など威厳(いげん)がただよう名前もあれば、「甘太郎」(茨城)、「あじまん」(山形)など優しげな響きの名前もあります。バリエーションが豊富です。
ちなみに……皆さんの地元では、「回転焼き」はどんな名前で呼ばれていますか?