2022.11.2 子育て
「トカゲ」「たんぽぽ」「風の神」……台風の名前に隠された秘密とは
●はじめに
突然ですが、皆さんは、台風に「日本独自の名前」が付けられていることをご存じですか?
2022年8月22日に発生した台風は、「台風10号」と呼ばれていますが、実は「トカゲ」という「日本名」も付けられています。「とかげ座」という星座に由来する名前です。
「なぜ、、どうやって台風の日本名は決まるの?」
「日本名は、なぜ星座に由来するの?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、「台風の名前」について解説していきます。
台風の名前は、「星座名」や「外国」とも関係があります。それについて親子で知れば、親子そろって知的好奇心が刺激されるかもしれません。
●「台風委員会」が名付けている!
台風の名前は、「台風委員会」という組織が付けています。
台風委員会とは、北西太平洋、南シナ海で発生する台風の防災に関わる、国際的な政府間組織のことです。日本をはじめ、14ヶ国が加盟しています。
その14ヶ国が、それぞれ10個ずつ「台風の名前」を用意しています。14×10ですので、全部で140個あります。
台風委員会は、その140個ある名前を順番に並べ、リストをつくっておき、それをもとに台風に名前を付けます。このリストは毎年つくられるわけではなく、同じものが繰り返し使われています。
要約すると、次のような仕組みです。
① 台風が発生するときに備えて、台風委員会が「名前のリスト」を用意している。
② 実際に台風が発生すると、リストの順番どおりに台風委員会が名前を付けていく。
では、「名前のリスト」の順番はどのように決まっているのでしょうか? 具体的に解説します。
台風委員会には、次の14ヶ国が加盟しています。
① カンボジア
② 中国
③ 北朝鮮
④ 香港
⑤ 日本
⑥ ラオス
⑦ マカオ
⑧ マレーシア
⑨ ミクロネシア
⑩ フィリピン
⑪ 韓国
⑫ タイ
⑬ アメリカ
⑭ ベトナム
台風が発生した場合、上に記した①~⑭そのままの順番で(カンボジアから)、14ヶ国がそれぞれ、名前を10個の中から1個ずつ使っていきます。
14ヶ国が1個ずつ……合計14個使い終えると、再びカンボジアに戻ってきます。そして、同じ順番で各国が2個目の名前を使っていきます。
最終的に10周して、140個すべて使い終わっても、「また新しい名前を考える」ということはしません。
すでに一度使った名前を、同じ順番・流れで使います。その繰り返しです。
●日本の台風名は「星座名」と関係がある
日本が考えた「台風の名前」10個は、すべて「星座名」に由来しています。
*こいぬ座⇒「コイヌ」
*やぎ座=⇒「ヤギ」
などなど……
このように、「座」の1文字を抜いた星座名をカタカナにしたものばかりです。
日本が星座名を使う理由は、次の4つです。
① 「個人・法人の名前」、「商標」、「地名」、「天気現象の名前」ではないため「中立的」。
② 「自然」のものであり、比較的、利害関係が生じにくい。
③ 台風と関わるイメージがある「天空」に「星座」がある。
④ 星座・その名前が人々に親しまれている。
「対立」の原因にならず、イメージしやすく、親しみやすいものとして「星座名」が使われているということでしょう。
また、星座名を使う際の「条件」もいくつかあります。主なものは次の3つです。
アルファベット9文字以内にすること(文字数が多すぎないように)
音節が多くないものにすること(発音しやすいように)
ほかの国・ほかの地域の言葉でも感情を害さないものにすること(皆が安心して使えるように)
簡潔で、わかりやすく、海外にも配慮することが不可欠だ、ということでしょう。
●外国ではこんな名前が付く!
ちなみに、外国ではどのような台風名があるのでしょうか? 一部をご紹介します。
*「ミンドゥル」
……北朝鮮が考えた名前です。意味は「たんぽぽ」。災害らしからぬのんびりとした印象も受けますが、円形の花びらを上から見ると台風に似ている、ということに由来するのかもしれません。
*「イーウィニャ」
……ミクロネシアが考えた名前です。意味は「風の神」。
「人の力ではどうしようもない災害が台風なのだ」という、あきらめのような恐怖がにおう名前ではないでしょうか。
●おわりに
気象庁の公式サイトには、台風の名前140個のリストが掲載されています。いかにも台風らしいものから、一見すると台風とは無関係に思えるものまで、様々です。もし興味があれば、リストをじっくり眺めてみてくださいね。