「草」? 「エモい」? 流行っているけれど聞き慣れない若者言葉たち

2021.8.2 子育て

「草」? 「エモい」? 流行っているけれど聞き慣れない若者言葉たち

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はじめに


 草不可避。
この言葉の意味を説明してください。そう言われたら、皆さんは何と答えますか? 

草不可避……字面だけ見ると中国語のよう。「草」と「不可避」の2つに分けても、小学校で習う漢字「草」と、大人でもあまり使わない単語「不可避」をつなげるの?……そう混乱されるかもしれませんね。

 ですが、これも「ちゃんと意味がある言葉」として使われているのです。
 今回は、そんな「若者言葉」についてご紹介します。

流行している若者言葉


 最近よく注目されるようになった言葉の中から、今回は2つご紹介します。

*〈草〉
「笑える」という意味の記号で、主にネット上で使われます。2000年代前半にコアなネットユーザーの間で広まり、2016年からSNSでも多用されるようになった単語です。
「笑える時」に使う言葉は、次のように変化してきました。

 「笑」➡「w」➡「草」

「笑える」を表現する記号として、最初に使われた文字が「笑」。
それが変形し、新たな主流となったのが「w」。
その「w」が、地面から生えた草に似ている……それで「笑」を意味する記号として使われ始めたのが「草」です。「笑」、「w」、「草」は、3つとも「笑える時」に使うのです。

「草」を使って「笑いがこみ上げること」を表現したい場合、「こみ上げる」が「生える」という表現になります。
つまり、「笑いがこみ上げる」=「草生える」となるのです。

用例①「それ、マジ草」  (それ、本当に笑える)
用例②「草しか生えない」 (笑うしかない)

「はじめに」でご紹介した「草不可避」は、次のような意味になります。
笑うことを避けられない(「草」が生えることを避けられない)。




*〈エモい〉
 「情緒的」という意味の英単語「エモーショナル」が変形し、「エモい」という単語になりました。「グロテスク」が「グロい」と変形したことに似ています。

 1980年代の音楽ジャンル、「エモーショナル・ハードコア」の略語が「エモ」で、情緒的な音楽だったことから「情緒的」=「エモい」と言われるようになったという説があります。
 「エモい」は、何か心に響くものがあったり、感情を揺さぶられたりした時によく使われます。うまく言葉にできない「素敵な気持ち」を表す時にも使われます。ですが「心に響く」、「感情を揺さぶられる」の2つは、当てはまるシチュエーションが人それぞれで数も決まりがありませんよね。「素敵な気持ち」も抽象的です。それを一言だけで表現できる「便利な言葉」ともいえますし、定義が複雑かつ曖昧な「わかりにくい言葉」ともいえます。

用例①「(夕焼けを見上げて)あの夕焼け、エモい!」
用例②「(映画を観終わって)この映画は、俳優の演技も音楽もエモすぎる」

親子間でのギャップ



皆さんの中に、「うちの子は『草』や『エモい』を使うけど、自分は使わない」という方がいらっしゃるかもしれません。親子間でのギャップを感じ、戸惑う時もあるのではないでしょうか?
そのギャップとの向き合い方を、私なりに考えてみました。

 *「草」の場合
「草」は、若者言葉ということを除けば、誰もが幼い頃から知る単語ですし、音も「くさ」で覚えやすいです。使われるのも「笑える時」だけ。
つまり、言葉としては単純なのです。
そう解釈すると、「草」を理解しやすくなるかもしれません。

 *「エモい」の場合
 「エモい」は、よく見聞きする10代の人でも、誤用する場合が少なくありません。定義が複雑かつ曖昧、用例も多種多様。馴染みのない人にとっては、「草」より理解するのが難しい言葉です。

 もし、お子さんが「○○はエモい」と口にした場合、「○○が心に響いたの?」と質問してみるとよいかもしれません。お子さんの答えが「YES」だった場合、「そうか。うちの子は、こういうものに心を揺さぶられるのかぁ~」と、お子さんの新たな一面を知ることができます。それが親子間のコミュニケーションを深めるきっかけになる可能性もあります。
よろしければ参考にしてみてください。



おわりに


 いかがでしたか? 若者言葉は他にも数えきれないほど存在します。

調べてみると、昔からある単語を1文字だけ変えたもの、英語の発音を略したもの、英語と日本語を組み合わせて略したものなど、意味や由来を知るだけでも面白い言葉がたくさんあります。あえて馴染みのない言葉たちに触れてみるのも、刺激になって良いかもしれません。

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